研究概要 |
【目的】神経芽腫には腫瘍細胞のアポトーシスにより自然消退を示す一群が存在する。これまでの研究で私たちは,神経芽腫におけるアポトーシスはFas非依存経路によるカスパーゼ3活性化に基づくことを明らかにした(J.Pathol.,189:410-415,1999)。本研究では,カスパーゼ3の上位調節因子としてミトコンドリア刺激を起点とするカスパーゼ9を候補に挙げ,その神経芽腫組織における発現様式を検討した。【方法】神経芽腫凍結組織20例より蛋白を抽出し,ウエスタンブロット法によりカスパーゼ9の発現を調べた。また,ホルマリン固定パラフィン包埋材料を用い,免疫ペルオキシダーゼ染色により活性型カスパーゼ9の局在を検索した。【結果】ウエスタンブロット法では全例に前駆型カスパーゼ9(p47)の発現がみられ,うち8例に切断(活性)型カスパーゼ9と思われるp37/p35バンドが確認された。免疫染色では,腫瘍内アポトーシス細胞の一部に活性型カスパーゼ9の局在が認められた。【結語】神経芽腫には前駆型カスパーゼ9が恒常的に発現し,一部の腫瘍では自己切断により活性化しアポトーシスを誘導していると考えられた。
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