各種薬剤による実験動物胎仔頭蓋顔面奇形発生のために予備実験として以下の状態を整えた。 (1)ウィスター系ラット(クリーン)を用いた交尾実験: 実験動物の交尾を実験室で正確に観察記録するのは難しく(当実験室での正確な交尾は実験助手の不眠の観察を要し失敗とした)、交尾(正確度95%)後雌ラットを実験動物業者から入手することとした。また、実験室内感染のためクリーンラットを用いることとした。 (2)4種の薬剤の調整、ゲージ・実験機器等の準備: 交尾前あるいは妊娠ラットにストレスを与えないようにするために2尾ずつゲージで飼育することとした。妊娠ラットの中にはとくに凶暴化し、腹腔内注射の際に逃げ出したり、かみついたりするものもあり、またラット同志での咬症外傷や新生児の自喰なども見られたため、大型のゲージで最多2尾飼育とすべきと思われた。 (3)薬剤による催奇形実験: 妊娠7日から14日にわたる各妊娠時期のラットにvinblastine(エクザール)、vincristine(オンコビン)、vitamine A(チョコラA)、ethanolの4薬剤を選択し各薬剤の単一腹腔内注射を行い、胎齢21日目の死亡胎仔数、生存胎仔数、外形異常数および発現部位・発生頻度を実体顕微鏡下に調査する予定であったが、未妊娠、胎仔数の異常に少ないものがあり、新生児の自喰によるデータの誤差を避けるべく本実験からは出産直前の母獣の帝切により胎仔数確認を行うべきと思われた。
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