セメント質と歯槽骨の発生分化に伴う細胞外基質遺伝子とタンパクの発現に関する研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11671794
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 笹野 泰之 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (30196191)
• キーワード: セメント質 / 骨 / 発生分化 / 細胞外基質 / 遺伝子 / タンパク / in situ hybridization / 免疫組織学

研究概要

本研究では、セメント質と骨に特徴的な細胞外基質の遺伝子とタンパクの両方の発現を指標として、細胞と細胞外基質の発生分化の特性をセメント質と骨との間で比較検討することを目的とした。
前年度は、I型コラーゲン、オステオネクチン、オステオポンチン、オステオカルシン及び骨シアロタンパク質を対象として、ラット胎児の下顎骨を材料とし骨基質の発生分化過程におけるこれらのタンパクの発現を免疫組織学的に検討した。本年度は、ラット下顎骨の発生過程におけるこれらの細胞外基質の遺伝子発現について、それぞれの分子に対するRNAプローブを作製し、in situ hybridizationにより検討した。遺伝子発現はタンパクの発現に先行して認められ、各細胞外基質遺伝子の発現が骨芽細胞の分化と密接に関わっていることが明らかとなった。これらの研究の成果は学術雑誌(Histochem J)に既に受理され、近日中に公表予定である。一方、セメント質の発生分化に関しては、生後2週齢から6週齢のラット第一臼歯歯根を材料として、細胞外基質分子の遺伝子及びタンパクの発現を同様に免疫染色とin situ hybridizationを用いて検討した。その結果、それぞれの分子が骨、無細胞セメント質及び有細胞セメント質の三者の細胞と細胞外基質の発生分化過程で特異的な発現パターンを示すことが明らかとなった。この成果は新た学術雑誌(Histochem J)に受理され、公表予定である。

研究成果

• [文献書誌] Sasano Y 他: "Distinctive expression of extracellular matrix molecules at mRNA and protein levels during formation of cellular and acellular cementum in the rat"Histochem J. (印刷中). (2001)
• [文献書誌] Zhu JX,Sasano Y 他: "Temporal and spatial gene exprssion of major bone extracellular matrix molecules during embryonic mandibular osteogenesis in rats"Histochem J. (印刷中). (2001)
• [文献書誌] Sasano Y 他: "Immunohistochemical localization of type I collagen, fibronectin and tenascin C during embryonic osteogenesis in the dentary of mandibles and tibias in rats"Histochem J. 32. 591-598 (2000)
• [文献書誌] Sasano Y 他: "Gene and protein expressions of type I collagen are regulated tissue-specifically in rat hyaline cartilages in vivo"Eur J Morphol. (印刷中). (2001)
• [文献書誌] Sasano Y 他: "Expression of major bone extracellular matrix proteins during embryonic osteogenesis in rat mandibles"Anat Embryol. 202. 31-37 (2000)
• [文献書誌] 佐藤秀則,笹野泰之 他: "ラット臼歯の有細胞セメント質形成過程におけるI型コラーゲン,骨シアロタンパク質及びオステオカルシンの遺伝子発現に関する研究"歯科基礎医学会雑誌. 42. 33-39 (2000)