研究概要 |
まず,基礎データとして,マウスのMSH2ノックアウトマウスにおいて100%発症する胸腺のT細胞性リンパ腫において,BAX遺伝子(G)8 repeatないしTGFβR-II遺伝子(A)10 repeatにinsertion/deletion mutationを効率にみとめることを確認した. 次に,ヒト濾胞性リンパ腫(FL)22例におけるhMSH2とhMLH1蛋白は,免疫組織化学的にのうちそれぞれ2例,4例の計6例に発現の欠失を確認した(27%).それぞれの遺伝子のすべての塩基配列をみたところ,hMSH2では2例とも,hMLH1では4例のうち1例にmutationがみとめられたが,hMSH2とhMLH1蛋白の発現が正常なFLではそれらの遺伝子にmutaionはみとめなかった.更に,hMSH2とhMLH1遺伝子にmutationをみとめた6例すべてに,BAX遺伝子(G)8 repeatないしTGFβR-II遺伝子(A)10 repeatにinsertion/deletion mutationをみとめたが,hMSH2とhMLH1蛋白の正常なFLではそのようなmutationはみとめなかった. 更に,FLにおけるBAX蛋白の発現は20%程度みとめられmismatch repair遺伝子の異常とある程度の関連性があることが示唆された.
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