研究概要 |
BMP-2およびBMP-4(以後,BMPと記す)は,TGFβファミリーに属する蛋白因子で,初期胚における腹側中胚葉誘導,骨芽細胞・軟骨芽細胞分化誘導,肢芽および歯胚における形態形成などにおいて重要な役割りを果たしている。特に肢芽の指間領域においてBMPは,細胞増殖抑制とアポトーシスを誘導することによって肢芽形態形成の中心的役割を果たす。また,歯胚のエナメル結節においても,BMPによる増殖抑制とアポトーシス誘導が歯胚の形態形成のために重要であることが示唆されている。しかし,BMPによる増殖抑制とアポトーシスの解析のために有用な培養細胞モデルは確立されておらず,その細胞内分子シグナルについてもまだ充分に解明されていない。 平成12年度の本研究において我々は,1)BMP-2による増殖抑制効果は、p21^<CIP1/WAF1>の発現誘導によって、Rbのリン酸化が抑制されるためにG1期停止が誘導されるためであること,2)BMP-2によるp21^<CIP1/WAF1>の発現誘導は、Smad1の活性化によってSmad1/Smad4がp21^<CIP1/WAF1>プロモーター内の特定の領域に結合することによって転写が活性化されるためであること、3)BMPによる増殖抑制とアポトーシスは連続してみられるが、HPV-16E6/E7遺伝子は、増殖抑制をブロックするがアポトーシスは抑制しないことなどを明らかにした。
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