ヒトロ腔内感染部位における偏性嫌気性グラム陽性桿菌の多様性とその病原因子

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11671798
• 研究機関: 新潟大学
• 研究代表者: 中澤 太 新潟大学, 歯学部, 助教授 (60115053)
• 研究分担者: 吉江 弘正 新潟大学, 歯学部, 教授 (20143787) ; 佐藤 尚美 新潟大学, 歯学部, 助手 (20018427) ; 星野 悦郎 新潟大学, 歯学部, 教授 (90124619) ; 須田 範彦 新潟大学, 歯学部, 助手 (30303142) ; 奥田 一博 新潟大学, 歯学部・附属病院, 講師 (00169228)
• キーワード: Cryptobacterium curtum / Mogibacterium pumilum / Mogibacterium vescum / Mogibacterium diversum / Mogibacterium neglectum / 偏性嫌気性グラム陽性桿菌 / 新細菌属・種 / 16SrDNA sequence

研究概要

1:ヒトロ腔内の種々の部位から、生存する細菌株を分離・培養し、従来の方法では同定できない(未同定/同定不能)偏性嫌気性グラム陽性桿菌の幾つかの菌株については、大量培養し、その菌体を得た。2:その菌体や既報細菌種の標準株から全DNAを抽出・精製し、各DNAのG+C含量を定量した。その結果、未同定菌株のG+C%は50〜51%、44〜46%、42〜41%の3群に区別された。3:それぞれのDNAプローベを作成し、RIラベルのメンブラン法によるDNA-DNAハイブリダイゼーションを行い、DNA-DNA相同性(%)を検討した結果、未同定菌株の何れもが、既報の細菌属及び種には属さないことが判明した。4:各菌株の全DNAからPCR法にて、16S-rDNAを増幅・精製後、5:ダイデオキシ法にて各菌株の16S-rDNAのシークエンスを明らかにした。6:得られた16S-rDNAシークエンスデータと、ジーンバンクから入手出来る既報のデータを使い、これら未同定細菌株の系統発生学的相違を検討した結果、既存の細菌種とは明らかに異なることが確認された。
(上記の文中、1:〜6:は、本研究の科学研究費交付申請書「本年度の研究実施計画」と対応)
上記の結果と生物学的性状を総合し、これまで同定不能とされてきた細菌株に対して新しい細菌属名及び細菌種名を提案し、国際学術雑誌に報告すると同時に、国際登録機関にこれら細菌株を登録する準備を進めている。一部の菌株についてはAmericam Type Culture Collection(ATCC)へ菌株登録や、その16SrDNA sequenceのジーンバンクへの登録を完了している。本研究で、新しく提案する(一部完了)細菌種の属名、種名及び株名は下記の通りである。Cryptobacterium curtum 12-3(ATCC700683),KV43B.Mogibacterium pumilum2-18(ATCC700696),BA11a-f.Mogibacterium vescum5-2(ATCC700697).Mogibacterium diversumHM-7,HH-31,HM-6.Mogibacterium neglectum P9a-h,UJB13-d.

研究成果

• [文献書誌] Futoshi Nakazawa: "Cryptobacterium curtum gen. nov., sp. nov., a New Genus of Gram-positive Anaerobic Rod Isolated from Human Oral Cavities"International Journal of Systematic Bacteriology. 49,3. 1193-1200 (1999)
• [文献書誌] Futoshi Nakazawa: "Description of Mogibacterium pumilum gen. nov., sp. nov. and Mogibacterium vescum gen. nov., sp. nov., and reclassification of Eubacterium timidum (Holdeman et al. 1980) as Mogibacterium timidum gen. nov., comb. nov."International Journal of Systematic and Evolutinary Microbiology. inpress. (2000)
• [文献書誌] Futoshi Nakazawa: "Taxonomic characterization of Novel Asaccharolytic Gram-positive Rods from Human Oral Cavities"Journal of Dental Research. 79,inpress. (2000)
• [文献書誌] 中澤太: "新しい糖非分解性グラム陽性桿菌の16S-rDNA sequence解析"歯科基礎医学会雑誌. 41,. 90 (1999)
• [文献書誌] 田村貴彦: "Pseudoramibacter alactolyticusにおける遺伝学的多様性"新潟歯学会雑誌. 30,1(発表予定). (2000)
• [文献書誌] 橋村剛志: "Eubacterium exiguum 16S rDNA sequence解析とPCR法による歯内病巣からの検出"新潟歯学会雑誌. 30,1(発表予定). (2000)
• [文献書誌] Salam, A.: "Eubacterium saphenum and cytokine production in mice"新潟歯学会雑誌. 30,1(発表予定). (2000)