研究概要 |
Porphyromonas gingivaisとPrevotella intermediaとの共凝集は種々の阻害実験等より、P.gingivalisのアルギニン特異的プロテアーゼ(RGP)の遺伝子の1つrpgAの産物のアドへジンドメインタンパク質がこの共凝集に関与している可能性が示唆された。そこで、rgp Aの全タンパク質を融合タンパク質として発現し、P.intermediaとの共凝集との関連性を検討した。P.gingivalis H66のrgpAの塩基配列を基に各ドメインを増幅するprimerを作製し、P.gingivalis ATCC 33277のchromosomal DNAをtemplateとしてPCRを行った。これらのPCR産物の塩基配列はH66株の塩基配列と高いホモロジーがあることを確認した。ついで、このPCR産物をpGEX-6P-3に組み込みE.coli BL21にtransformation後GST融合タンパク質として発現し、精製した。GST-HGP44,GST-HGP15,GST-HGP17,GST-HGP27の各融合タンパク質単独または混合物をP.intermediaに添加しても凝集は見られなかった。しかし、各GST-ドメインタンパク質をSepharose4Bビーズに吸着させたものではP.intermediaの菌体がビーズ表面に結合する像が観察された。このことよりアドへジンドメインの各タンパク質は溶液状態ではP.intermediaに結合できないが、ビーズに結合することにより結合できることがわかった。また、GST-RGPの融合タンパク質は発現はするものの、封入体を形成し可溶性画分より精製できなかった。そこで、RGPと類似の作用を示すトリプシンにて処理したP.intermediaとP.gingivalisとの共凝集をみたところ、共凝集するにあたりRGPによりP.intermediaの表層をプロセシングすることは必要ないことが推測された。以上のことより、rgp Aからの産物のうち酵素作用は直接関与せずアドへジンドメインタンパク質の各成分が菌体に結合した状態または複合体を形成した状態でP.intermediaとの共凝集に関与するものと思われた。
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