研究概要 |
破骨細胞形成支持能を有するST-2細胞のLPS刺激ODF遺伝子発現誘導機構に関して解析した。 1、ST-2細胞にLPS10μg/ml添加後、24時間目からODF遺伝子発現が認められ、72時間目をピークとした。その遺伝子発現は、10ng/mlから10μg/mlまで濃度依存的に上昇した。 2、LPS誘導性ODF遺伝子発現は抗IL-6抗体添加によって中和された。また、IL-6の遺伝子発現と蛋白質発現が確認された。rmIL-6100ng/mlを添加したところ、24時間目に明らかなODFの遺伝子発現が認められた。 3、この応答性が、LPS receptorであるCD14とTLR4を介した反応であるか検討した。ST-2細胞では、恒常的なCD14とTLR4の遺伝子発現が認められた。CD14をGPI anchor部分で切断するPI-PLCをもちいてCD14がLPS誘導性IL-6遺伝子発現に機能的役割を演じているか否か調べたところ、PI-PLC前処理によってLPS誘導性IL-6遺伝子発現は明らかに抑制された。さらに、TLR4を強制発現させたST-2細胞ではIL-6とODFの遺伝子発現の上昇が認められ、LPSに対する応答性が高まった。 4、LPS誘導性破骨細胞形成が、炎症性サイトカインによって誘導されるODFに依存しているか否か、ODFのdecoy receptorであるOCIFを添加したところ、LPS,mIL-6,hIL-1βそしてhTNFα刺激によって形成される吸収窩の数は、rmOCIF/Fc100ng/ml同時添加によって完全に抑制された。 以上の結果から、LPS誘導性ODF遺伝子発現には、CD14-TLR4を介して誘導される内因性のIL-6が関与していることが明らかとなった。また、LPS刺激による破骨細胞形成は、ODFに依存した現象であると考えられる。
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