研究概要 |
従来アミロイドは、アミロイド線維が病変部に沈着し、組織を侵していくと考えられている。全身性アミロイド症において、免疫グロブリンL鎖由来のALアミロイド症は、口腔内にもアミロイドの沈着を認められる。しかしながら、アミロイド症の研究試料は、ヒトの生検や剖検からしか得られないため、疾患の経歴、組織の鮮度、薬物投与の影響などさまざまな問題が生じ、アミロイド症の基礎的研究を行ううえで多くの弊害となっている。このような問題を解決するためにすでに確立されているAAアミロイド症の動物実験モデルを応用し、ALアミロイド症の場合に適応させアミロイドを誘導させることにより、in vivoにおける口腔内アミロイド沈着の形成機序に関する基礎的研究を行った。アミロイドの誘導には、マウス(15-20g)にアゾカゼインを投与し、その脾臓からAmyloid Enhancing Factor(AEF)の精製を行った。AEFの精製において、マウスの系統に違いが見られた。C3H/Hej,BALB/C,CBA/Jのマウスにアゾカゼインを投与し、脾臓にアミロイドが沈着されるまでの経過時間が、CBA/J系が最も早く、C3H/Hej系が遅かった。AEFの効果に違いは見られたかった。アミロイド誘導試薬とAEFをマウスに投与し、アミロイド症を誘導した。アミロイド症の発現部位を知るために脾、肝、腎、舌、唾液腺を試料とし、光顕および電顕観察を行った。誘導されたアミロイド症が、ALアミロイド症であることを確認するために過マンガン酸処理法を行い、コンゴーレッド染色後、偏光性を示すことにより確認した。各組織の被膜や小葉間結合組織に局在する太い血管周囲の結合組織にアミロイドの沈着が見られた。舌においては、粘膜固有層や、粘膜下層の結合組織にアミロイドの沈着が観察された。
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