電位依存性カルシウムチャンネルα1サブユニットA型、B型、C型、D型、E型に対する抗体の特異性およびその染色態度を確認するために、生後0日、7日、14日および成獣のマウス脳に免疫組織化学を行った。その結果A型、B型、C型、D型、E型の各型が同じプルキンエ細胞に発現しており、以前の我々のin situ hybridizationとあわせて考えるに同一細胞にA型、B型、C型、D型、E型が発現していることを確定し、特異性に問題はなかった。さらにこれは細胞種によってカルシウムチャネルの発現型が決定されているのではない事を示唆する。 鶏胎児神経管神経上皮をラベルし、または抗HNK-1抗体による免疫組織化学により神経堤細胞を観察、同時にBrdUを投与し、S期の細胞を確定することにより、1)移動中神経堤細胞が増殖していることを明らかにした。またマウス胎生8日および9.5日のカルシウムチャネルA型、B型、C型、D型、E型の各型の免疫染色により、2)移動開始時の神経堤細胞はカルシウムチャネルα1サブユニットのうち特にC型とD型を強く発現していることを明らかにした。さらに3)移動中の神経堤細胞はC型、D型、E型を発現していること。4)神経管神経上皮細胞はE8ではカルシウムチャネルα1サブユニットを発現する細胞はないが、E9.5においてはA型、B型、C型、D型、E型を発現している細胞が散在することを明らかにした。これらのことより、神経堤細胞の移動開始および移動中にカルシウムチャネルが関与していることが示唆される。また4)の事実より、神経管神経上皮内でのカルシウムチャネルの新たな機能が示唆される。
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