研究概要 |
歯周病巣局所において黒色色素産生Gram陰性嫌気性桿菌であるPrevotella intermediaとPrevotella nigrescensどちらの菌種がより重要か検討するため歯周ポケットからのこれらの菌種の検出率を検討したところP.intermediaとP.nigrescensは歯周病患者(実験群)と健常者(対照群)いずれにおいても、どちらかの菌種が検出されその分離頻度は前者において明らかにP.intermediaが優勢であり、多くの症例でP.intermediaが単独で検出された。また、両菌種が検出された場合でもP.intermediaが絶対多数(90%以上)を占めていた。一方、対照群においてはP.nigrescensが優勢に検出さる傾向を示した。また、歯周病原的役割の一端を解明するためこれら菌種の溶血毒素に関して検討したところこれら両菌種間における血液平板上での集落の溶血環は幾分P.intermediaが強い傾向が認められたもののほとんど相違は無いと考えられた。そこで歯周病患者において検出頻度が顕著に高いP.intermediaについてその溶血因子を検討した結果、活性は培養上清に有り、菌体の音波処理においてはほとんど活性が認められなかった。本因子は易熱性蛋白で熱処理(100℃,10min)あるいはトリプシン(12000u/ml)処理において溶血活性は完全に失活した。また、キレート剤(40mM EDTA)およびカチオン(100mM Ca、Mg)による影響は認められなかった。部分精製品(DEAE-Sephacel後のCM-Sepharose画分)は4℃静置でその活性が漸次減少した。しかし、各種還元剤(Cystein,Dithiothreitol,Glutationなど)によりその活性にある程度差が認められるものの回復を示した。溶血活性はpHで差が認められ、溶血活性に影響を及ぼさない(pH6.0-8.0)範囲においてはpH7.5付近で最大値を示した。さらにこの物質はHot-cold型の溶血毒でないことが判明した。しかし、4℃においては活性が認められず活性発現が温度に影響されることが認められた。
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