研究概要 |
1、 MTT法、DPA反応及びアガロース電気泳動の結果から、VFA(酪酸)は歯肉線維芽細胞(Gin1,F41-G及びH.pulp)の増殖を僅かに抑制したが、T・B・Mφ細胞に比較してアポトーシス誘導は顕著ではなかった。 2、 酪酸存在下、Intercup法並びに直接法にて共培養後のヒトT細胞(末梢血及びJurkatTリンパ球細胞株)アポトーシスにおける線維芽細胞の影響を検討した。Intercup法においては線維芽細胞との共培養により酪酸で誘導されるT細胞アポトーシスが促進された。一方、直説法においては線維芽細胞との細胞間相互作用によりT細胞アポトーシスは抑性された。 3、 繊維芽細胞を酪酸と共に培養した後、細胞表層上のマーカーの推移をFACS解析したところ、酪酸刺激によりCD54及びCD106の発現が顕著となった。更に、0.1〜10ng/mlのCD54及びCD106はT細胞アポトーシスを抑制した。一方、酪酸刺激により線維芽細胞培養上清中に産生されるサイトカインはIL-8及びIL-11が顕著であった。更に、1〜10ng/mlのIL-8及びIL-11はT細胞アポトーシスを促進した。 以上の結果から、T細胞アポトーシスにおける線維芽細胞共培養の影響は、線維芽細胞が産生するサイトカイン様の液性因子又は細胞表層上の分子マーカーの関与によってアポトーシスの促進並びに抑制という相反する現象が生じることが判明した。
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