研究概要 |
1.主要構成VFAである酪酸は歯肉繊維芽細胞(Gin1,F41G及びH.pulp)の増殖を僅かに抑制した。しかし、T細胞系(マウス胸腺、マウス脾細胞、Jurkat,PBMC)、B細胞系(マウス脾細胞、WEHI231,RAJI)及び単球系(U937,THP-1)に比較して、そのアポトーシス誘導は顕著ではなかった。 2.歯肉繊維芽細胞中のサイトカイン(IL-1α,IL-1β,IL-6,IL-8,IL-11,TNFα及びTGFβ)産生量を測定したところ、酪酸刺激により細胞上清中に産生されるサイトカインはIL-6,IL-8及びIL-11が顕著であり、その産生量は5mM酪酸添加、24h培養でIl-6が約1500〜1900pg/ml,IL-8が約4000〜5000pg/ml及びIl-11が約900〜1100pg/mlであった。 3.Inter cup法を用いた歯肉繊維芽細胞との共培養により、酪酸誘導T細胞アポトーシスが抑制されたことから、繊維芽細胞培養上清中におけるアポトーシス抑制因子の存在が示唆された。 4.供試濃度のIL-6及びIL-8添加はJurkat T細胞アポトーシスを僅かに抑制したが、一方IL-11添加においてはアポトーシスの著しい抑制が認められた。このことから酪酸刺激により繊維芽細胞培養上清中に産生される炎症性サイトカインの効果の総和が、歯肉繊維芽細胞によるT細胞アポトーシスの減衰に影響を与えていることが示唆された。 5.更に、直接法においても歯肉繊維芽細胞に付着したJurkat T細胞のアポトーシスは著しく抑制された。酪酸添加により繊維芽細胞表層上のCD47,CD44及びCD58分子の増加が認められたことから、これらの分子マーカーが酪酸誘導T細胞アポトーシスの抑制に関与していることが示唆された。
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