研究概要 |
カリクレイン遺伝子ファミリーのそれぞれは極めて類似したアミノ酸配列を呈し相同性が高いため免疫組織学的にこの酵素の局在を同定することは困難であった。研究者等は抗mK1抗体を他3種のカリクレインファミリーメンバーで吸収することにより、特異性の高い抗体を得た(Kurabuchi et al,1999)。 今年度は,去勢雄を材料としてGCTにおけるmK1分布の性差はandrogenに依存していることを実験形態学的に精査し報告した(Kurabuchi et al.2001,J Histochem Cytochem,in press).さらに,下垂体を摘出した雄を材料として,androgen,甲状腺ホルモン,副腎皮質ホルモン,単独あるいは組合せ投与による影響を検討した.その結果,雌GCTにおけるmK1のモザイクパターンは甲状腺ホルモン単独で発現できた.一方,雄のモザイクパターンのはandrogen単独では発現できず,甲状腺ホルモンを同時に投与することが必要であることがわかった.副腎皮質ホルモンは単独では作用が弱く二つのホルモンの補助として作用していることが明らかとなった.現在,結果をまとめている. 次に、真性組織カリクレイン遺伝子mK1k-1の局在を検討するためにprimer-up(ACC ATC ACA GAT CAG TGGG)、および-down(CCT CCT GAA TGA GCA CAC CC)をデザインした。マウス顎下腺、舌下腺、腎臓、肝臓から全mRNAを調製した後、逆転写酵素によりcDNAを得た。これを鋳型としてprimerに相当するDNAを遺伝子増幅装置で増幅した(RT-PCR法)。PCR産物をアガロースゲル電気泳動法で調べた結果、顎下腺、舌下腺、腎臓で同じ位置に一本のbandを確認した。現在、このプローブを用いてin situ hybridization、およびin situ RT-PCRを検討しているが満足のゆく結果を得られていない.
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