若年性歯周炎原因菌Actinobacillus actinomycetemcomitansは好中球走化性を阻害する因子を産生していることが1991年に報告されたが、それ以降この因子については一切報告が無く、詳細は不明である。本研究では、その因子について詳細な解析を行ったところ、熱(90℃5分)、酸(pH2)、アルカリ(pH10)、有機溶媒処理によって好中球走化性阻害活性は失われなかったが、プロテアーゼ処理によって失活したのでタンパク性の因子であることが明らかとなった。次に、本因子の精製を試みたところ、熱処理した細胞質画分をHPLCのTMS(トリメチル基)カラムを使って精製することに成功した。本因子は分子量約10Kのタンパクであり、N末端20アミノ酸残基の決定を行ったところ、Pasteurella multocidaのDNA結合タンパクHUのN末端配列と完全に一致し、またHaemophilus influenzaeのHUの配列と1残基を除いて完全一致した。前述2種の菌はA. actinomycetemcomitansとともにPasteurellaceaeに属しているので本菌も同様なタンパクを持っていることが推定される。しかしながら本菌の遺伝子データ-ベースは現在不完全であり、実際にHUと推定されるタンパクをコードしている遺伝子は部分配列のみ明らかである。現在PCR法とコロニーハイブリダイズ法を使って本菌の完全な構造遺伝子のクローニングが進行中である。またrecombinant HUの大腸菌で発現を検討中である。 ベクターをプラスミドとして、本菌の遺伝子ライブラリーを作製し、宿主の大腸菌を形質転換し、発現タンパクの活性を調べるスクリーニングを行うことによって、本因子の遺伝子のクローニングを試みたが成功しなかった。 さらに歯周病の治療薬として期待される好中球走化性阻害活性を示すタンニン(sanguiin H-11)を見出したのでそれについても検討した。
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