研究概要 |
ラット・マウス胎児と幼若動物(ラット:胎齢12、14、16、18日:生後0、7、14、21日;マウス:胎齢14、15、16、18日:生後0、7、14、21日)の舌乳頭形成過程に関し、以下の点を明らかにした。 1.光顕・透過電顕の観察結果から、ラット・マウスとも出生を境にして糸状乳頭部の粘膜上皮は急速に角化傾向を呈する。これは、胎生期と出生後の環境の違いに対する舌粘膜の適応的な変化と考えられる。胎生中期の舌背粘膜上皮の上皮細胞は、単に非角化性であるだけでなく、生後動物とは異なり、立方細胞が上皮組織内に疎らに配列する構造を呈している。出生時にはすでに角化重層扁平上皮によって舌背粘膜上皮が構成されていることが光顕、透過電顕によって確認されたが、角化の進行と糸状乳頭の形成は生後急速に進展する。Polyclonal keratinおよびmonoclonal keratinのいくつかについては、レーザー顕微鏡を用いた蛍光免疫組織学的観察によって発生・成長程の消長について検討を行った。 2.胎生中期に出現する形成初期の茸状乳頭は、求心性神経線維の到達前に上皮の間葉側への陥入によって、上皮から離れた間葉内部にほぼ球形の原基として形成される。これらの原基は、舌正中溝の両側から順次外側に向かって列を成して形成され、舌背粘膜上皮に近接しするに従って茸状乳頭の構造を呈する様になる。求心性神経線維はその後に茸状乳頭の原基に到達し、原基内には味蕾が形成されて茸状乳頭となる。 3.舌粘膜内のでEGF, FGE, TGF, NGF, KGF蛋白の分布に関する免疫組織学的観察およびm-RNAに対応するプローブでのジゴキシゲニン標識法によるin situ hybridization観察は、現在継続し、結果について比較・検討している。
|