分離破骨細胞をガラス面上で培養したときにアクチンとその関連蛋白の集合体であるスポット状のポドゾームが出現することが知られており、in vivoにおける接着装置と同一の構造と考えられている。このような構造について接着側細胞膜面を露出させ細胞質側から膜面と細胞骨格の関連を解析するために、培養細胞を塩化亜鉛を含む緩衝液で処理し背側細胞膜と大部分の細胞質構造を除去し急速凍結固定後、高真空下(1x10^<-6>Pa)で凍結乾燥して白金とカーボンのレプリカ膜を作製し透過型電子顕微鏡で観察した接着膜面を露出させ適度に細胞骨格を残存させる最適条件は氷温の塩化亜鉛を含む緩衝液をジェット水流で3〜5回ガラス面の培養細胞に直接当てることで、この条件が最終的な超微構造の状態を左右した培養初期にはポドゾームの他に細胞骨格と直接的には関連しない構造である多数のクラスリンシートが接着側細胞膜面に出現することは既に我々が明らかとしてきたが、さらにそれらは細胞骨格が有機的なつながりをもつ構造となる以前の偽足様突起の膜面に出現することが判明した。またポドゾームと共存することもあるが大部分はその分布領域が分けられておりクラスリンシートはより細胞辺縁部か又はポドゾーム領域よりさらに細胞質側であった。ポドゾームを作るアクチン線維を主成分とする細胞骨格は膜内面上の顆粒状構造によって間接的に膜に結合され、これらのクラスリンシートやポトゾーム構造体は塩化亜鉛の水流作用、界面活性剤の処理に抵抗し膜に残存していた。このことはこれらの構造が基質としてのガラス面に強固に接着していることを示している。今後はポドゾームの動的構造変化を免疫細胞化学の手法を用いアクチンとその関連蛋白の分子解剖学的局在について解析する予定である。
|