我々は耳下腺遊離細胞をBio-Gelとmixし小さなcolumnでperfusionする系を確立し、種々のアゴニストのアミラーゼ分泌の時間変化を解析した。その結果isoproterenol(Isop)などcyclic AMPを介するものとcarbachol(Cch)などCa^<2+>系を介するアゴニストのアミラーゼ分泌に及ぼすパターンがが異なることを見い出した。すなわちIsopの作用はゆっくり発現し大きなplateauを形成する、単相性の変化を示す。一方Cchは二相性すなわちrapidなpeakとそれに続くplateauからなる。ところで開口分泌は一般に二つのステップ、すなわち分泌顆粒のprimingと最後のfusion/exocytosisからなる。我々が耳下腺のアミラーゼ分泌で見い出した成績は耳下腺のアミラーゼ分泌においても類似のメカニズムが働くことを示唆する。 IsopはcAMPの増加を介し、主にprimingを促進する。その結果primeされた顆粒の数が増加する。したがってfusionの確率が増し、アミラーゼ分泌が促進する。一方Cchは細胞内Ca^<2+>濃度の増加を介して顆粒のprimingとfusionの二つの過程を同時に促進、すなわち分泌顆粒のfluxの促進によりアミラーゼ分泌を増加する。この場合Cchのinitial pealは主にfusionの促進で起り、一方sustained phaseは二つの過程を同時に促進することによるsteady stateを示している。 ところでIsopとCchの同時添加はアミラーゼ分泌を顕著に増強する。この増強はIsopがCch(Ca^<2+>)作用(Ca^<2+>のprimingおよびfusion作用)のsensitivityとefficacyの増加により発現する。IsopによるCchのaffinityの約増加はほぼ50倍であり、このことはIsopの効果のが外液のCa^<2+>を除去しても変化しないことを説明する。なをIsopとCch同時刺激時、Cchの作用をblockするとアミラーゼ分泌がIsop単独の効果より一過性に減少した。このことはIsopとCch同時刺激時顆粒のfluxは顕著に増加するが、primeされた顆粒の量は大きく減少することを示す。
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