破骨細胞に特異的に発現するOsteoclast-derived zinc finger(OCZF)遺伝子は、C末に3つのZnフィンガー、N末には蛋白質間の相互作用や転写抑制作用に関与すると考えられているPOZドメインを有する転写因子である。 1)OCZFcDNAをTag付発現ベクターに挿入しOCZF蛋白質をヒト細胞293Tで作製する。ランダムオリゴDNAを用意しin vitroで精製したOCZF蛋白質と結合させた後、Tagを用いて結合した蛋白質を濃縮しそれに結合したオリゴDNAを単離しPCR法を用いて増幅し、OCZFのDNA結合標的配列を決定した。その結果、OCZFの結合配列はEgr-1とは似ているが異なる配列であると考えられた。その詳細についてはさらに検討中である。2)POZドメインを欠くOCZF(delPOZ-OCZF)及びZnフィンガー領域のみからなるOCZF(Zn-OCZF)のdeletion mutan型の発現ベクターを作製し、Egr-1の発現ベクターとともにNlH3T3細胞に遺伝子導入し、Egr-1のコンセンサス配列を挿入したルシフェラーゼ発現ベクターを用いて転写活性能について解析した。その結果、OCZF及びdelPOZ-OCZFを導入した細胞では転写活性が著しく抑制されるが、Zn-OCZFにはやや弱い抑制活性がみられた。またこの抑制活性は、ヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤であるトリコスタチンAを添加すると解除された。また、etsファミリーに属するets-1とその結合配列を有するレポータープラスミドを用いてOCZFがその転写活性を抑制するかどうか検討した結果、抑制作用はみられなかった。3)NFkBの転写活性を測定するレポータープラスミドを用いて、NlH3T3及び293T細胞にTNFαを添加するとともにOCZFの発現ベクターを同時に遺伝子導入し、その転写活性に対する作用について検討した。OCZFはNFkBの転写活性を著しく促進した。
|