破骨細胞に特異的に発現するOsteoclast-derived zinc finger(OCZF)遺伝子は、c末に4つのZnフィンガー、N末には、蛋白質間の相互作用に関与するドメインを有するPOZ-Znフィンガー型の転写制御因子である。 (1)破骨細胞の分化におけるOCZFの機能を調べるために、RANKLの添加により破骨細胞に分化することが知られているマウスマクロファージ細胞株RAW264.7を用いてOCZFの発現誘導について解析を行った。その結果RANKLで破骨細胞の分化を誘導するとOCZF発現が上昇し誘導されることがわかった。次に、OCZFのcDNAを安定に発現する細胞を得るために、ネオマイシン耐性遺伝子マーカーを有するOCZF発現プラスミドを作製し、エレトロポレーション法によりDNAを導入し安定発現細胞株の作製を試みた。ベクターのみのDNAを導入した場合には細胞のクローンを得ることができたが、OCZFcDNAを含む発現プラスミドを用いた場合には細胞株を得ることができなかった。そこで、さらにOCZF cDNAを発現するリコンビナントレトロウイルスプラスミドを作製し、パッケイジング細胞に遺伝子導入し、組み換えウイルスをRAW264.7細胞に感染させ、G418を用いてOCZFを発現する細胞株の選択を試みた。その結果多くのクローンが得られた。これらの細胞においては、親株に比べ増殖速度が1/4に落ちており、破骨細胞の分化誘導は見られなかったが多核の細胞がより多く誘導されることがわかった。現在さらに種々の遺伝子マーカーを用いた詳細な解析を行っている。(2)OCZFの機能に関与する蛋白質内の領域について解析するため、OCZFのPOZドメイン及びそのC末のプロリンリッチドメインを欠く2種類のdeletion mutantOCZF及びZnフィンガードメインを持たないOCZFのPOZドメインのみからなるdeletion mutant OCZFをPCR法により増幅しその断片を選択マーカー付きの発現プラスミドにクローニングした。それぞれのプラスミドについては塩基配列を解析した。これらのプラスミドをRAW264.7細胞に遺伝子導入しG418を用いて選択したところ多数の細胞のクローンが得られ、その分化能等について解析中である。
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