研究概要 |
オステオカルシンmRNAの翻訳段階におけるBMPの翻訳制御調節を検討するために,C3H10T1/2細胞に組み換えBMP-2を添加し、経時的に細胞を抽出しシュークロースグラジィエント密度勾配遠心法を行い,いわゆるポリリボゾーム解析を行った。すなわち,密度勾配遠心法後のRNAを分取しそれらを電気泳動し,オステオカルシンcDNAをプローブとして,ノーザンブロット法を行った.組み換えBMP-2添加による骨芽細胞分化に伴って,リボゾームの多く結合したオステオカルシンmRNAが有意に増加していることが明らかになった.次に,これらの翻訳制御領域を同定するために,マウスオステオカルシン遺伝子をPCR法によってクローニングし,転写開始点以降のさまざまな長さの5'非翻訳領域ならびに3'非翻訳領域を含み,非特異的なプロモーターを組み込んだ数種類のルシフェラーゼレポーターコンストラクトを作製した.これらのプラスミドをelectroporation法でC3H10T1/2細胞にトランスフェクトし,24時間培養後組み換えBMP-2を培地に加え,さらに48時間培養を続けた後,細胞を回収し,ルミノメーターを用いてルシフェラーゼ活性を測定する実験を行った.5'非翻訳領域を含むレポータープラスミドの導入した細胞においてBMP-2添加によって特異的にルシフェラーゼ活性の上昇が認められた.また,5'非翻訳領域RNAをプローブとして用いたゲルシフトアッセイによって,骨芽細胞分化に伴ってこの領域に数種類のタンパク質が結合することが示された。現在,これらの実験成果をもとにして,この骨芽細胞分化におけるオステオカルシン5'非翻訳領域に結合し翻訳を調節しているRNAタンパク質の構造ならびに機能を明らかにすべく,研究を進行中である.
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