本研究の基礎的実験として、ヒト歯肉線維芽細胞のLPSレセプターがCD14とTLR4であり、P.g.菌由来LPS(P.g.-LPS)がCD14とTLR4に結合後細胞内でチロシンリン酸化が起こり、MAPキナーゼの情報伝達路より、サイトカインが産生することを証明した。さらにP.g.菌由来LPSが線維芽細胞に作用しIL-6を産生し、そのIL-6が破骨細胞を活性化し、骨吸収に至るカスケードを培養系で再現することも明らかにした。さらに、P.g.:菌由来LPSの感染によるマウスの実験的歯周病モデルを確立し、LPSレセプター抗体を用い骨吸収抑制効果を検討した。すなわち、マウスの上顎第一臼歯頬側より、LPSを除放性に投与した場合、頬側に有意な歯槽骨の吸収が認められた。さらにこの吸収は、経時的に増大する傾向を示した。さらにこの動物実験系に抗P.g.-LPSレセプター抗体の投与した結果、骨吸収抑制効果を確認できた。以上の培養系と動物実験系から、P.g.-LPSが歯周病の病原因子の可能性を示唆され、P.g.-LPSの宿主細胞のレセプターがCD14である可能性を示唆することができた。本実験で確立された実験的歯確立された実験的歯周病モデルを用いることによりこのモデルを用い、骨吸収を阻害する物質のスクリーニングを行う。この物質が歯周病治療・予防薬の可能性を秘めている。
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