研究概要 |
本研究は中枢神経以外の末梢組織に分布している末梢型ベンゾジアゼピン受容体と免疫および炎症反応との関係を調べることが目的である.本年度はベンゾジアゼピン受容体のアゴニストであるベンゾジアゼピン系薬剤を用い、ヒト末梢血単核球への作用をin vitroで調べた.ベンゾジアゼピン系薬剤として、一般臨床で頻用されているミダゾラムを使用し、免疫および炎症反応の指標として、単核球中のサイトカイン(インターロイキン6)の遺伝子(mRNA)発現量を評価した.その結果、ミダゾラム10μg/mlの溶液で37℃2時間インキュベーションした時、単核球中のインターロイキン6の遺伝子(mRNA)発現量は経時的に抑制された.さらにミダゾラム10^<-4>,10^<-3>,10^<-2>,10^<-1>,1,10μg/mlの各濃度の溶液中に37℃2時間インキュベーションした時のインターロイキン6の遺伝子(mRNA)発現量は、濃度依存性に抑制された.これらの結果から、in vitroにおいてベンゾジアゼピン系薬剤であるミダゾラムはヒト末梢血単核球中のインターロイキン6の産生を抑制し、免疫および炎症反応を抑制する可能性が示唆された.ミダゾラムは中枢型と末梢型の両方に結合する混合型のアゴニストと考えられているため、この作用が末梢型ベンゾジアゼピン受容体を介した作用であるかどうか調べるために、今後の研究では、末梢型ベンゾジアゼピン受容体に特異的なアゴニストおよび中枢型ベンゾジアゼピン受容体に特異的なアゴニストを用いて検討する.
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