研究概要 |
当講座で確立した4-Nitroquinoline 1-Oxide誘発ラット舌癌の腫瘍血管構築については、当初から研究を進めてきた。今回、舌癌モデルを2群(A:リング状血管・網状血管を有する外向性発育の腫瘍B:樹枝状血管・既存血管破壊性を有する腫瘍)に分け、血管新生阻害剤(5-DFUR,Actinon,抗integrin)を投与し腫瘍の発育抑制について比較検討した。 いずれの血管阻害剤でもA群の方がB群に比べて腫瘍の発育の抑制が認められた。A群の中でも網状血管を有する外向性の発育形態を示す腫瘍で効果が高かった。しかしながら、腫瘍の消失に至った症例はなく、最大で70%の腫瘍径の抑制が認められた。血管鋳型標本ならびに走査顕微鏡により腫瘍血管の変化を観察したところ、腫瘍の発育先端で腫瘍血管の念珠化ならびに血管径の狭小化が認められた。また、コントロール群では腫瘍の栄養血管からの分枝が経時的に発育する事が観察されたが、投与群では分枝の成長は念珠状に途絶していた。これらの成長抑制の結果は従来から本モデルに各種抗癌剤を投与した結果とほぼ同様であったが、抑制効果は代謝拮抗性の抗癌剤より効果的であった。 今後の課題は抗癌剤と血管阻害剤との組み合わせによる効果の増強、既存血管が破壊された腫瘍へのdrug deriveryをいかに増強するかである。
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