研究概要 |
高齢雌ラット(40匹)の卵巣を摘出し,低カルシウム飼料(カルシウム0.1%含有)を給餌することにより実験的骨粗鬆症ラットモデルを形成した。20匹はsham operated controlとし,20匹はintact controlとした。骨粗鬆症の形成は実験開始後3ヵ月で認められ,特に大腿骨で顕著に見られた。下顎骨を摘出し,pQCTを用いて大腿骨と下顎骨の相似点を検討したところ,下顎骨においては,臼歯直下の歯槽骨において大腿骨の骨吸収と同様な所見が得られた。すなわち,骨粗鬆症ラットの下顎骨において,臼歯直下の海綿骨の吸収が著しく,それに反して皮質骨での変化はほとんど見られなかった。このことは,骨のリモデリングにおいて,骨粗鬆症ラットでは大腿骨と同様に皮質骨で負の代謝回転は少なく,臼歯直下の海綿骨で大きな負の代謝回転がなされていることをも意味する。骨粗鬆症患者において,歯槽骨の脆弱化および咬合力の低下が示唆される。
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