研究概要 |
加齢に伴う粘膜免疫の変化を検討する第一段階として,粘膜免疫に関連したリンパ組織,特にIgA誘導部位(小腸のPeyer's patch)とIgA実効部位(顎下腺,小腸粘膜固有層)における形態学的・免疫組織学的検討,フローサイトメトリーによる分析,ならびに各種免疫学あるいはOVA特異的IgA免疫応答について検討した.6週齢および48週齢のBALB/cマウスを上記抗原によって免疫し,各群から採取した組織あるいは単離した単核細胞を用いて実験を行った. 1. 組織学的・免疫組織学的検討:IgA誘導部位およびIgA実効部位について形態学的検討を加えたところ,抗原特異的IgA免疫応答に重要なgerminal centerが,加齢により形態的に矮小化することを示唆する結果を得た.今後,同部位に存在する免疫担当細胞を表現型に基づき分類し,naive T cellとmemory T cellの検出率,並びに免疫生物学的機能について検討する予定である. 2. フローサイトメトリーによる分析:IgA誘導部位,IgA実効部位および脾臓から単核細胞を単離し,anti-CD1,anti-CD3,anti-CD4,anti-CD8,anti-CD11b,anti-CD19,anti-CD45RO,anti-CD45RA,anti-αβTCR,anti-γδTCRを用いて解析したが,単染色では加齢による変化はほとんど認められなかった.今後,重染色し各表現型と加齢による変化について検討する. 3. LPSおよびOVA特異的IgAの免疫応答:抗原を腹腔免疫し.各組織から単核細胞を単離し,抗原特異的IgM,IgGおよびIgA産生細胞数をELISPOT assayにより測定した.今回の免疫法ではIgMとIgGに抗原特異的免疫応答が認められ,IgAには認められなかった.また,加齢によって免疫応答は若干減少する傾向を示し,特にOVA特異的免疫応答においてその傾向が強く認められた.
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