研究課題/領域番号 |
11671890
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
古跡 孝和 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (40121818)
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研究分担者 |
井上 雅裕 大阪歯科大学, 歯学部, 助教授 (50159993)
林 靖久 大阪歯科大学, 歯学部, 助手 (90164970)
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キーワード | 唾液腺腫傷 / 耳下腺 / 顎下腺 / 唾液腺造影検査 / MRI検査 / MR-Sialo / 超音波検査 / RI検査 |
研究概要 |
唾液腺疾患の診断に際して、超音波検査、X-CT検査、MRI検査、唾液腺造影検査およびRI検査など多くの検査法が用いられる.中でも、唾液腺造影検査が最も古い検査法で一般に普及している.本学においても唾液腺疾息の検査の中心を占めてわり、過去13年間に約600症例の唾液腺造影検査を行った.この中から大唾液腺周囲に生じた腫瘍および腫瘍様病変を抽出し、検査法の選択基準の決定について検討した. 結果、画像診断で109症例が腫瘍および腫瘍様病変とされ、病理組織診断または臨床診断が確定したのは72症例であった.内訳は良性唾液腺腫瘍38症例、悪性唾液腺腫瘍8症例、悪性リンパ腫7症例、悪性腫瘍6症例、良性腫瘍5症例、嚢胞4症例、炎症性病変4症例であった.良性唾液腺腫瘍では、多形性腺腫が最も多く27症例(耳下腺:15症例、顎下腺:12症例)で、次いで腺リンパ腫10症例、好酸性腺腫1症例であった. 超音波検査は、腫瘍および炎症性疾患の選別に有効であった.唾液腺周囲疾患の初診時のスクリーニングとして必要不可欠な検査である.単純CT検査は、顎下腺では情報が低下し、あまり有効な検査ではなかった.唾液腺造影検査は従来から言われているように存在診断には有効であるが、質的診断には不向きであった.RI検査は、腺リンパ腫の特異診断に有効であった.総合的には、MRI検査は病変の局在および質的診断などの情報量が多く最も有効性の高い検査であった.MR-Sialo像は画像的に改善の余地が残されているが唾液腺造影検査の代替検査になる可能性が示唆された.また、画像描出率や画像は耳下腺よりも顎下腺に有効性が高いように思われた. MRI検査は水を強調する撮像特性を利用したMR-Sialo像や液体の分子運動を観察する拡散強調像などを改善応用することで質的な診断の精度が向上できると考えられた.
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