研究課題/領域番号 |
11671897
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
中西 正 徳島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (00217770)
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研究分担者 |
菅 俊行 徳島大学, 歯学部, 助手 (60243713)
中江 英明 徳島大学, 歯学部, 助教授 (30227730)
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キーワード | 歯髄炎 / う蝕関連細菌 / 免疫染色 / シクロオキシゲナーゼ-2 / マクロファージ / 線維芽細胞 / MCP-1 / MMP-1 |
研究概要 |
本研究では、不可逆性歯髄炎の病態成立における歯髄組織破壊機構を解明することを目的とし、露髄部の細菌-宿主反応に焦点をあて、歯髄組織の変化について免疫組織学的に検索するとともに、in vitroで歯髄線維芽細胞をう蝕関連細菌にて刺激したときの反応性を検討した。被験試料としては、歯髄に到達するう蝕を有し臨床症状から不可逆性歯髄炎と判定され、且つ智歯等の理由から臨床上抜歯の適応と診断されたヒト抜去歯を用い、ケモカインの一つであるMCP-1ならびにマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)のうちMMP-1について酵素抗体法により免疫染色を行った。MCP-1は細菌侵入部に近接した歯髄生体防御の最前線部のCD68陽性マクロファージに、主に発現が認められた。正常歯髄では、その発現はほとんど認められなかった。MMP-1も、主としてマクロファージにその発現が認められたほか、血管内皮細胞の一部にも発現が認められた。また、ヒト歯髄線維芽細胞を用いた培養系において、露髄部付近に高頻度に検出されたう蝕関連細菌のうちS.mutansを用いて細胞を刺激し、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)発現に対する影響を調べたところ、線維芽細胞のCOX-2の発現がmRNAレベルで増強していることが明らかとなった。これらの結果より、不可逆性歯髄炎の病態形成にマクロファージが大きく関与していることが示唆されるとともに、歯髄組織構成細胞である歯髄線維芽細胞もその病態を修飾している可能性が示唆された。
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