申請者はEr : YAGレーザーの応用による罹患歯質の選択的除去、窩洞形成を応用した修復法を想起し、その実用性、術式、技法の確立を目的として、本研究をおこなった。 平成11年は小窩裂溝及び平滑面の初期齲蝕除去用のレーザーコンタクトチップを開発、試作し、実験的検討をおこなった。試作チップに必要な所用性能、照射特性について研究分担者の荊木が検討し、これをもとに研究協力者の片岡、岡上によりチップが製作された。試作チップの基礎的特性についてはヒト抜去歯及び牛抜去前歯を試料として検討を行った。 平成12年は本チップを用いて形成した小窩裂溝部の窩洞の修復法について、適した修復材料、方法について検討した。通常の練成修復材料では緊密な填塞、封鎖は困難であるため低粘性の修復材料を選択し、検討を行った。すなわちグラスアイオノマーセメント、コンポマー、低粘性コンポジットレジン修復材料である。これらの材料についてヒト抜去歯を用いた検討を行いその充足性と封鎖性について色素浸透試験により検討したところ、エアタービンによって形成された窩洞への修復と同等の封鎖性と充足性が得られた。 平成13年度は以上より導かれたれた術式を実際に臨床に応用し、術後経過と成績について検討した。 以上の検討によりEr : YAGレーザーによる小窩裂溝初期齲蝕における齲蝕除去と窩洞形成は、今回試作したチップを用いることにより、可能であることが判明した。また、その修復方についても低粘性材料を用いることにより、緊密かつ封鎖も良好な修復を行うことが可能であることが確認された。実験的検討では有用性が確認されたが、臨床応用については、現在、術後経過観察期間か短期であり、長期的経過については不明である。今後と症例を増やし臨床成績を評価することが必要であると考えられる。
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