研究課題/領域番号 |
11671902
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
木村 裕一 昭和大学, 歯学部, 助教授 (60211877)
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研究分担者 |
代永 一雄 昭和大学, 歯学部, 助手
村上 宜子 昭和大学, 歯学部, 講師 (10297038)
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キーワード | 根管拡大 / 根管形成 / Er : YAGレーザー / Er,Cr : YSGGレーザー / 熱的影響 / 動物実験 / 歯周組織 |
研究概要 |
今までの研究結果より、Er : YAGレーザー、Er,Cr : YSGGレーザーが根管拡大への応用が非常に有望であり、ヒト抜去歯を用いた実験では適切な照射条件を使用することで歯根表面の温度上昇は許容範囲内で根管拡大ができ、拡大後の根管壁はデブリスやスミアー層のほとんどないきれいなものであった。本年度はさらに歯周組織への影響を組織学的に調べるため、Er : YAGレーザーを使用してラットを用いた動物実験を行った。ラットの下顎第1臼歯の近心根を抜髄し直後にEr : YAGレーザーを100-300mJ/pulseの設定条件で照射すると100mJでは歯周組織に熱的影響を与えることなく根管拡大ができた。また、ラットの下顎第1大臼歯の近心根に感染根管を作製し、これにも同じ照射条件で照射すると、やはり100mJでは歯周組織に熱的影響を与えることなく根管拡大ができた。200mJの照射条件では抜髄症例ではかなり多くに熱的障害が認められたが、感染根管の症例ではいくつかに認められたにすぎなかった。このことから感染根管の症例では熱的影響を受けにくいことが示唆された。しかし、300mJの照射条件では抜髄症例、感染根管症例の両方にかなり熱的障害が認められた。熱的障害の主なものは歯根表面の吸収とその周囲組織における強い炎症であった。また、根尖部ではアピカルシート部の破壊を伴っていた。このことから適切な照射条件を用いることにより歯周組織に熱的影響を与えることなくEr : YAGレーザーで根管拡大ができることが示唆された。今後さらに免疫組織学的手法等を用いて詳細に熱的影響を調べ、照射条件以外でいかに影響を少なくするか検討する必要がある。
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