研究概要 |
光硬化型グラスアイオノマーセメント(以後,光セメント)などの審美性修復物表面に限局する不快事項に関しては,修復物の事故部分のみを削除して,その削除部を新しく修復する,補修修復法が提唱されている。そこで,表面処理材としてボンディング材を用いた試片にサーマルサイクリング(以後,TC)を負荷し,新旧修復物間の接着耐久性および物性の指標としてその曲げ強さについて検討を加えた。 光セメントは,フジアイオノマータイプIILC(ジーシー)およびVitremer(3M))の2製品で,ボンディング材としては市販の5製品を用いた。これらの光セメントを練和,硬化させ,劣化条件としては,TCを10,000回負荷した後に,照射面から1mmの深さまで研削し旧光セメント試片とした。この研削面に供試したボンディング材を塗布して新たな光セメントを補修するものとした。その結果, 1.サーマルサイクリングによる接着耐久性は,表面処理材とレてフィラー含有のボンディング材を用いることによって高くなる傾向があった。 2.接着試験後の破壊形式は,フィラー含有ボンディング材では混合破壊あるいは凝集破壊が多い傾向があった。また,サーマルサイクリングの負荷回数の増加に伴い,いずれのボンディング材でも界面破壊が増加する傾向があった。 3.サーマルサイクリングによる曲げ強さの耐久性は,表面処理材としてフィラー含有のボンディング材を用いることによって高くなる傾向があった。
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