研究課題/領域番号 |
11671912
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
奈良 陽一郎 日本歯科大学, 歯学部, 助教授 (80172584)
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研究分担者 |
光安 廣記 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (20239297)
柵木 寿男 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (50256997)
貴美島 哲 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (90247023)
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キーワード | 引張り接着強さ / 新型試験器 / 健全象牙質 / 健全エナメル質 / 歯頸部摩耗症 / う蝕象牙質 / レジン / 接着システム |
研究概要 |
今年度は、これまで改良を加えてきたIn-vivo/vitro両用小型接着試験器を用いて、臨床的修復歯面に対する引張り接着強さを、レジン接着システムを中心に測定した。はじめに、代表的な臨床的修復歯面であるう蝕罹患象牙質に対し、3種のツーステップレジン接着システム、すなわちワンボトルプライミングアドヒーシブシステムのSingle Bond(SB)、ツ-ボトルセルフエッチングプライマーシステムのClearfil Mega Bond(CMB)、試作抗菌性フッ素徐放性ワンボトルセルフエッチングプライマーシステムのABFを用いてIn vitro接着強さの測定を行った。その結果、SBの歯頸部におけるう蝕罹患象牙質/健全象牙質に対する平均引張り強さは、それぞれ16.0/18.9MPa、CMBでは21.3/25.0MPa、ABFでは22.5/25.0MPaを示し、システムにかかわらずう蝕罹患象牙質に対する接着強さは健全象牙質に比べ有意に小さい値であった。したがって、う蝕罹患象牙質は健全象牙質に比べ高い接着強さを獲得することが難しい歯質であることが示唆された。 また、臨床において被着対象になりうる健全エナメル質へのIn-vivo/vitro接着強さを、前出のSBならびにツーボトルセルフエッチングプライマーシステムのMAC-BOND II(MB)を用いて測定した。その結果、In vivoとIn vitro各環境下における接着強さは、被着面の違い(無切削面/研削面/切削面)およびシステムの違いによって有意な影響を受けないことが判明した。さらに、In vivo値とIn vitro値との間には有意差を認めないものの、前者は後者に比べ同等または小さい値を示した。 また、歯質との接着状態を検討する際に重要となる接合界面の観察、特にレジン-象牙質接合界面の検討手段としては、従来のSEMによる観察法に加え、共焦点レ-ザ-走査顕微鏡(CSLM)が有効であることが明らかとなった。
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