研究概要 |
本研究は高齢顎内症患者で夜間睡眠時ブラキシズムを有するものについて,ブラキシズムの動態を調査し,UCLAにて研究代表者が行い,継続して調査している若年者との相違を明らかにする目的で行われた。測定は通常のブラキシズム治療用に用いるスプリント内部にPiezo素子を埋め込み,これによってブラキシズム発生時に生ずる起電力をテレメトリーによって記録システムに送信した。記録は携帯型パソコンを用いた。被験者は上記システムを自宅に持ち帰り2-4週間のデータを記録した。同時に日記により,頭痛,ストレス,疲労度,活性度をVASによって記録させた。被験者には65-72歳の男性3名,女性2名が本研究の趣旨を理解した上で参加した。そのうち義歯装着者は男性2名女性1名であった。また,若年者の研究では12名が参加しデータを比較した。若年者,高齢者いずれのデータもブラキシズムレベルと共通して相関する項目はなく,ブラキシズムの発現が個人によって大きく異なることを示した。また,義歯の有無によってブラキシズムの発現状態が変化する傾向も認められなかった。本研究によってブラキシズムの発現には個人差が大きく,何らかの共通要因によって誘発されるものではないことが明らかとなった。またその発現動態も経日変化が大きく,この測定は少なくとも2週間以上連続して行うことが望ましいことが明らかとなった。
|