研究概要 |
1.目的 顎関節症患者において,どのような咬合異常が,多くみられるかについて明らかにする.また,顎関節症患者を経時的に病態を観察することによって,咬合因子が,顎関節症の軽快化や悪化に影響を与えるかを明らかにする. 2.結果 初診時の咬合因子と顎関節症の病態の比較については,平成11年度と同様の方法で分析した.その結果,前方咬合位について,前方咬合位の接触割合では患者群と復位対照群の大臼歯部が有意に多く接触していた.しかし,前方咬合位における咬合力には有意差が認められなかったことを報告した. 経時的な変化に関しては,予後調査を行った被験者では,MR画像では変化がみられない者が多かった.ヘリカルCT画に関しては,円板非復位の患者群の中に下顎頭の変化の大きい者がみられた.しかし,それにともなう咬合接触状態の著しい変化はみられなかった.咬合力に関しては,患者群では,咬頭嵌合位の咬合力の増加した者が多かった.顎関節症の症状の悪化した患者もみられたが,顎関節症の軽快化や悪化に影響と咬合因子との関係は統計学的な有意な関係がみられず,明らかにできなかった. また,顎関節部負荷の調節についても分析し,咬合点が変化しとも,咬筋と側頭筋の協調活動によって,顎関節負荷を小さくできることを二次元静力学モデルを用いて示した. 3.今後の研究計画 顎関節症患者の経時的変化に対する咬合因子の影響の分析について,今後,さらに被験者を増やして,経時的な顎関節の病態変化と傾向を分析し,最終的には咬合因子の予後に対する影響をロジスティック回帰解析を行って明らかにしていく.
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