研究課題/領域番号 |
11671928
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
岡崎 正之 広島大学, 歯学部, 教授 (30107073)
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研究分担者 |
吉田 靖弘 広島大学, 歯学部, 助手 (90281162)
野村 雄二 広島大学, 歯学部, 助手 (80218370)
若狭 邦男 広島大学, 歯学部, 助教授 (00136095)
島津 篤 広島大学, 歯学部, 助手 (10274094)
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キーワード | 生体接着分子 / アパタイト / コラーゲン / 積層膜 / 骨芽細胞 |
研究概要 |
生体接着性の優れたバイオミメティック人工歯根膜の開発研究を進めているが、人工歯根膜をいかにして天然歯根、人工歯根材料や歯槽骨と接合するかが大きな問題となってきた。これまでの研究で化学的処理や接着剤を用いれば、ある程度良好な接着は可能であることがわかったが、長期的展望に立ち生体の代謝性を考慮すると、"生体接着分子"の概念を利用する方が生体に相応しいより強固な結合が得られるのではないかという考えに立ち至った。幸いにも去年度、コンビナトリアル・ケミストリーの手法により、接着分子の合成が可能となった。本年度は、アパタイト・コラーゲン積層膜表面への接着分子の付与方法とシーケンスの最適化を検討し、生体接着の概念を利用した軟組織・硬組織両者に接合し得る人工歯根膜システムの開発を目指した。 まず骨アパタイトに類似した炭酸アパタイトを合成し、X線回折、化学分析により同定するとともに、骨様アパタイトに酵素処理コラーゲンを混合することにより製膜を試みた。また、すでに考案している方法を利用し、コラーゲン膜とアパタイト・コラーゲン膜を積層することによりハイブリッド化を図ることができた。この複合膜上に、生体接着ペプチドRGDSLを修飾することにより、膜の表面性状についてSEM・TEM観察およびFT-IR,ESCA表面解析を行ったところ、接着モチーフの修飾が確認できた。さらに、この接着モチーフ付与アパタイト・コラーゲン積層膜のペレットを用い、骨芽細胞培養による細胞接着試験を行ったところ、コントロール試料に比べて有意に高い細胞接着特性を示した。なお、ラット頭蓋骨骨膜下に複合膜を埋入し、一定期間毎に組織観察を行ったところ生体親和性は良好であった。
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