研究課題/領域番号 |
11671931
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
入江 正郎 岡山大学, 歯学部, 助手 (90105594)
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研究分担者 |
石川 邦夫 岡山大学, 歯学部, 助教授 (90202952)
鈴木 一臣 岡山大学, 歯学部, 教授 (30050058)
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キーワード | GBR / GTR / 細胞遮断膜 / 骨形成 / 骨再生 / アルジネート / アルギン酸ナトリウム / 塩化カルシウム |
研究概要 |
本研究は、アルギン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウムの接触で形成されるアルジネート膜をGBRにおける細胞遮断膜として応用しようとする研究である。 本年度は研究計画の一年目としてアルジネート膜のGBR膜としての有用性、アルギン酸ナトリウム濃度、塩化カルシウム濃度等が形成されるアルジネート膜の物性に及ぼす影響を検討するとともに、実験動物を用いてアルジネート膜のGBRにおける有用性を検討した。 アルジネート膜と塩化カルシウムを接触させることにより無色透明の弾力性を有するアルジネート膜が得られた。臨床応用の可能性を検討するためにラット頸骨に骨欠損を形成し、アルギン酸ナトリウム水溶液を充填し、その後に塩化カルシウム水溶液を滴下すると骨欠損部表面にアルジネート膜が形成された。アルジネート膜を切開すると未反応のアルギン酸ナトリウム水溶液が認められ、本法によりGBRの必要条件であるスペースの確保が達成できることが明らかになった。塩化カルシウム濃度を一定にした場合、アルギン酸ナトリウム水溶液の濃度を増大するに従い、形成されるアルジネート膜の厚さは増大した。一方、アルギン酸ナトリウム水溶液の濃度を一定にした場合、塩化カルシウム水溶液の濃度を増大させても形成されるアルジネート膜の厚さは大きく影響を受けなかった。 形成されるアルジネート膜の機械的強さの指標としてアルジネート膜の引張り強さを万能試験機を用いて検討した。アルジネート膜の引張り強さはアルジネート膜の厚さとほぼ比例し、得られるアルジネート膜の組成は基本的には同一であることがわかった。 次にラット頸骨に骨欠損を形成しアルギン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を用いてGBRを行った。経時的に脱灰組織標本を作製し、病理組織学的に検討を行った。その結果、アルジネート膜設置群においては骨欠損の修復が認められたが、骨欠損を放置した対照群においては軟組織性の修復が認められ、アルジネートはGBRにおける細胞遮断膜として機能することが明らかになった。対照群における骨は骨欠損を修復する方向に形成されてものの、骨形成時期のみを比較するとアルジネート膜設置群に比較して対照群の方が早期に骨形成が認められた。したがって、アルギン酸ナトリウム水溶液は血餅と比較すると骨形成能に劣ることも明らかになった。
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