研究概要 |
<緒言> 本研究は,ブラキシズムは精神的ストレスを抑制するために有益な機能であるという仮説を検証する研究の基礎資料を得るために,就眠時ブラキシズム(グラインディング)の抑制の有無が,就寝前後における尿中ストレス・ホルモン量と就眠時の咬筋筋活動量の関係に及ぼす影響について検討することを目的とした. <材料ならびに方法> 自覚的あるいは他覚的に夜間ブラキシズムを認める被験者12名を対象として,各被験者につき,顎運動抑制装置の装着,それのダミーの装着,および装置を何も装着しない状態の3条件を適用し,就寝時の咬筋筋活動量を記録するとともに,就寝前後の尿を採得した. 記録された筋電図データを自作のアプリーケーションソフトで解析し,さらに4種類の尿中ホルモンについて,就眠時尿中ホルモン比率(起床時の尿中ホルモン濃度/就眠直前のホルモン濃度)を各測定日ごとに算出した. 筋電図の解析結果と就眠時尿中ホルモン比率の相関関係を各ホルモンについて調べ,相関関係が認められるホルモンについては,顎運動抑制に関わる3条件ごとに,エピソード発現回数と就眠時尿中ホルモン比率の相関関係を調べた. <結果と考察> アドレナリン,ドーパミン,170HCSの場合には,就眠時尿中ホルモン比と就眠時の咬筋筋活動の間における関連を見いだすことが出来なかったが,ノルアドレナリンの場合には,就眠時尿中ホルモン比と就眠時の咬筋筋活動との関連が示唆された.さらに,ノルアドレナリンの場合には,就眠時ブラキシズム(グラインディング)を抑制しない場合には,就眠時尿中ホルモン比と就眠時の咬筋筋活動との間には関連があるが,抑制した場合にはこれらの間の相関が弱くなることが認められた.
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