研究概要 |
口腔リハビリの概念は口腔清掃と口腔機能回復への関わりを含む「口腔ケア」であり,これは単に義歯などの補綴物を入れる行為や、口腔清掃という行為にとどまらず,全身状態の管理を含めた口腔機能の評価と機能回復に対する継続的な関わりが基本とする.実践するのは現場の医師,介護者や介護支援の人々であり,これら関係職種への啓蒙教育,共同理解が口腔ケア対策の要となる.要介護高齢者にとって不顕性誤嚥による難治性肺炎は致命的であり,その原因の一つは口腔内常在菌の肺への流入といわれている.すなわち口腔管理が全身管理を左右するといっても過言ではない. まず口腔カンジダ症に有効な口腔メインテナンス方法の確立のため義歯使用要介護者の口腔粘膜と使用義歯から真菌を培養同定・定量し,真菌が10^3コロニー以上を対象に義歯内面に抗真菌剤を塗布する方法で薬剤投与を行いその効果を判定した. 方法はイミダゾール系の抗真菌剤2%ミコナゾールgelを1日量,一回投与量,投与回数変えたグループにて,初診時,投与1週間後,投与2週間後,投与中止後2週間後に真菌検査を実施した.メーカ指定の投与量を投与開始後,1週間で対象者の2/3は真菌(-)となり,その効果は塗布中止後2〜4週間続いた.塗布中止後4週間で半数は術前と同じ菌数となった.塗布前に10^5コロニー以上であった対象者は菌数の減少は認められたものの,塗布中止後2週間で菌数は増加しはじめ,4週間後には術前以上の大幅な増加を認め,長期的な観点でのメインテナンスが必要であることが明らかになった.
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