研究課題/領域番号 |
11671940
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
久恒 邦博 長崎大学, 歯学部, 教授 (20037526)
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研究分担者 |
三浦 永理 長崎大学, 歯学部, 助手 (70315258)
田中 康弘 長崎大学, 歯学部, 助手 (10217086)
詫間 康子 長崎大学, 歯学部, 教務職員 (60160074)
白石 孝信 長崎大学, 歯学部, 助教授 (10150468)
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キーワード | 時効硬化 / 金合金 / 規則格子 / 相変態 / 歯科用合金 / 低温時効 |
研究概要 |
歯科用金合金は口腔内における機械的性質を満足するために時効硬化を利用している。母相と結晶構造が異なるCuAu規則格子の生成により強化できるが、時効硬化に伴う変形の問題が起こっている。本実験はCuAuの代わりに母相と同じ面心立方格子を持つCu_3Auを導入し、さらに口腔環境内で自然時効する合金の開発を目的としてその基礎データを収集するために行なった。等原子比合金Cu_3AuにInを0、1、3、6at%添加した3元系合金を真空高周波溶解炉で溶製した。冷間加工と973Kでの加熱を繰り返し行ない、試料を均質化した。この合金から電気抵抗測定用に厚さ0.1mm、幅3mm、長さ30mm、ヴィッカース硬さ測定用に厚さ0.5mm、幅5mm、長さ10mmの板状試料、X線回折実験には300メッシュのふるいを通過した粉末試料を作製した。これらの試料を973Kで3.6ks加熱後、氷塩水中に急冷して溶体化処理を施した。まず最初に全体の相変態挙動を明らかにするために、昇温電気抵抗測定を行なった。測定は直流電位差計法(四端子法)により0.1Aの電流を通電し、0.1K/minの速度で加熱し、約1K温度間隔で行なった。相変態は二段階で進行し、Inの添加により変化挙動は低温側にシフトする傾向が認められた。また、Inの添加量が増加するとともに規則-不規則変態点が大幅に低下することが確認された。このことは口腔内環境温度での相変態に伴う時効硬化の可能性を示唆している。硬さ試験ならびにX線回折実験による構造解析は現在進行中である。
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