研究分担者 |
池田 和博 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (10193195)
越野 寿 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (90186669)
石島 勉 北海道医療大学, 歯学部, 助教授 (60211041)
服部 真幸 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (70316264)
横山 雄一 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (50295903)
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研究概要 |
平成11年度には,嚥下機能の評価法を確立するために,若年正常有歯顎者10名を被験者として,水およびゼリー嚥下時の舌運動軌跡および嚥下音を,現有の汎用超音波診断装置,探触子,生体信号検出ユニット,高感度心音マイクおよび今回購入した光磁気ディスク静止画像記録装置を用いて観察,記録した.舌の動態を解析する指標として,Mモード画像上の運動変曲点6点(T0-T5)と嚥下音波形の最大振幅が示された時点を設定し,時系列分析を行った.その結果,嚥下音に関して,食塊が舌によって咽頭方向に送り出される時に発生する第1音(S1)と,それが,食道入口部を通過する際に発生していると考えられる第2音(S2)が記録された.さらに,試験食品の粘度の差異によって,嚥下音の第1音と第2音との発生時点が異なることが判明した.舌運動軌跡を示すT0からT5までの測定値と嚥下音を示すSl,S2との相関を検討した結果,T4-S1に高い相関が認められ,嚥下機能の客観的評価の指標となり得ると判断した. 平成12年度には,高齢全部床義歯装着者3名を被験者として,前年度の結果によって得られた分析方法により嚥下機能を評価した.その結果,義歯を装着していない状態での嚥下においては,誤嚥を引き起こしやすいと考えられるT4-S1の関係を示したが,義歯の装着によりT4-S1の関係は,正常有歯顎者のそれに近似した関係を示した.さらに,若年有歯顎者6名を被験者として,厚さ1.4mmおよび2.8mmの口蓋板装着時の嚥下機能を同様に評価した.口蓋板の装着により,T0-Tl間の時間は口蓋板未装着時に比較して有意に延長したが,T4-S1の関係には変化は認められなかった. 結論 1.嚥下機能は加齢によって低下するが,適切な義歯補綴治療によって補完できる. 2.食品の粘度の調整が誤嚥の防止に有効と考えられた. 3.適切な口蓋形態の付与が嚥下機能の回復に不可欠と考えられた.
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