研究概要 |
現在臨床において活用されている純チタンの人工歯根は、osseointegrationが成立するまでに時間がかかり臨床における課題のひとつになっている。この課題を解決するためにチタン表面を陽極酸化し、その後水熱処理を行うことで表面にbioactiveなハイドロキシアパタイトの結晶をコーティングさせる手法(SA処理)が開発された。 今回、SA処理表面の安定性を確認するために緩衝液中に長期保存した試料表面での骨形成細胞の動態および石灰化過程について、in vitroにおいて石灰化能を有するラット骨髄細胞を用いて検討するとともに、材料表面上で、マクロファージおよび破骨細胞を培養しハイドロキシアパタイト結晶の崩壊・貪食について観察することを目的に実験を行った。以下に本年度の経過について報告する。 本年度の実験計画により、純チタンに対するブラスト処理とチタンとブラストチタンに対するSA処理を行った材料をpH6.0の生理食塩水に浸漬、保存し緩衝液中に長期保存した試料を作成した。また、最終的な形態観察を行うための画像解析、石灰化にかかわるCa,P元素の分析、評価をコンピューターで行うために解析方法を確立した。以後、来年度の計画に基づき制作した試料を用いて表面における石灰化とハイドロキシアパタイト結晶の崩壊・貪食について検討する。
|