研究概要 |
歯冠用コンポジットレジンは,最近新規のフィラー形態を有するものや、臼歯部適用を考慮しフィラーを高密度に充填した歯冠用コンポジットレジンが出現し、その進歩は著しい。しかし、これら新規の歯冠用コンポジットレジンの特性に関しては、まだ十分には報告されていない。このため、本年度の研究では歯冠用コンポジットレジンの摩耗特性を調査する一環として,歯冠用コンポジットレジンの各種特性について調査した. 歯冠用コンポジットレジンの構成成分を調査するため,(1)フィラー含有量,(2)フィラー形態の観察,また硬化特性と調査するため(1)各種照射器による硬化深度(2).重合率変化の計測を行った.さらに,機械的性質を調査するため(1)破壊靭性試験,(2)直接引張試験,(3)曲げ試験を行い,それぞれの応力特性値について評価を行った. 歯冠用コンポジットの特性は,各コンポジットレジンでフィラー形態,硬化特性,機械的性質が大きく異なることが認められた.前臼歯修復用のコンポジットレジンと比較すると,フィラー含有量が低く,フィラー形態は微細であり,硬化特性はデンティンにおいて顕著に低いことが認められた.また,歯冠用コンポジットレジンの中においても,前歯部前装用と前歯部ならびに臼歯部領域にも適用可能なコンポジットレジンの2種類があり,フィラー構成,フィラー組成が大きく異なっていた.各種機械的性質の測定から,各歯冠用コンポジットレジンの有する機械的強さは大きく異なっていたが,いずれの歯冠用コンポジットレジンにおいても前臼歯修復用のコンポジットレジンよりもこれらの特性は低いことが認められた.以上の結果を踏まえて,次年度では歯冠用コンポジットレジンにおけるこれらの特性と摩耗挙動との関連性について検討する予定である.
|