セラミックブロック(長石系陶材)から歯科用手動倣い加工機で、倣い研削したセラミックスポストコアを、模型に接着して精度を計測した。コア部とマージン部の適合は良好なものでは最小5μm、最大90μmまで観察された。特徴的なことは鋭角な根管開口部付近の適合がかなり悪く、最大200μmの物が観察された。ポスト部のセメントラインは5〜50μmの厚みであった。さらにポスト先端部分では8μm〜50μmのセメント層であった。また接着したポストとセラミックスブロックはかなり薄くまで研削しているにも関わらず、陶材の種類によらず剥離、破折は観られなかった。 破壊試験を行った結果、破折時の最大荷重はコアのみの場合(クラウンを装着しない場合)長石系セラミックスポストコアシステムで平均27.4kgf(SD:9.2)であった。またクラウンを接着した長石系セラミックス・ポストコアシステムでは平均38.0kgf(SD:7.6)で従来型の既製根管ポストと、コンポジットレジンによる支台築造体との有意差は認められなかった。破壊はセラミックスポストコアシステム、既製根管ポストと、コンポジットレジンによる支台築造体ともに全試料で加重側のマージンとクラウン辺縁部で生じた。破壊様式はいずれの試料でも顕著な相違が観察されなかった。また既製根管ポストとセラミックスコア接着部やセラミックスコアの破折亀裂等は観察されなかった。したがってセラミックスポストコアシステムは従来型の既製根管ポストと、コンポジットレジンによる支台築造体に対して同等またはそれ以上の実用の可能性があるものと考えられる。
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