研究概要 |
1.咬合音測定システムの改良:加圧量の設定については,一次加圧を弧状バネで行った後に微調整を行なう方式とした結果,設定時間が短縮できた。また,加速度ピックアップの固定はラバーホールドでは低周波成分の減衰が大きいことから減衰の少ない樹脂固定に変更した。従来のシステムではFFTアナライザに一次データを入力し波形処理する必要があったが,パソコン用波形データ収録ボードとプログラマブルな波形解析ソフトを用いたシステムに改良したことで100ks/sec以上の高速サンプリングと100MBの収録容量が確保できるようになり,咬合音だけでなく顎運動軌跡も含めた収録が可能となった。 2.咬合状態の検討:動的咬合状態に関する検討として健常群とクリック有雑音群を対象に咬合音の持続時間を検討したところ,健常群の持続時間は平均2msec,クリック有雑音群の持続時間は平均3msecで健常群に比べクリック有雑音群の持続時間が長く,咬合接触の同時性が低下している傾向がみられた。 3.顎運動速度の基礎的検討:被験運動としての最大開閉口運動の検討を行なったところ,1sec前後のリズミカルな最大開閉口運動が最も安定していた。健常群とクリック有雑音群を対象とした検討では,開口相での最大速度は健常群では平均370mm/sec,クリック有雑音群では平均330mm/secで,健常群に比べクリック有雑音群の最大速度が小さい傾向がみられた。 咬合音測定システムで顎運動軌跡の収録も可能になったことから,現在,顎運動のnotch様相の解析も行なえるようプログラムの検討を行なっている。
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