研究概要 |
本研究は,多くの疾病を有する在宅寝たきり要介護高齢者の歯科診療に際し,全身管理方法など専門的な知識あるいは具体的な診療術式について,地域歯科医師会と大学病院など高次医療機関とがインターネットなどのメディアを用い一体となり,共同にて安全かつ充実した医療の提供を,しかも地域差なしに行うための基礎的検討を目的としている.そしてこのシステムの充実は,いくつかの段階を経て行い,ステップ1として,ハード面としてのチャート及び伝達手段としてのツールの検討,ステップ2として実際に運用する前段階として,限られた地域間にてシステムの運用を行い,実際の診療にチャートが生かされたかについて検証を行った後,ステップ3として本運用する.本年度は,ステップ1について研究を行い,まずチャートを,訪問歯科診療を行っている歯科医師会の予診票と日本大学歯科病院にて用いられている予診票および日本大学駿河台病院にて用いられている予診票を参考として調査項目の選定を行った. 項目は,1.患者情報 2.全身状態 3.口腔内状態 4.治療方針及び計画 5.治療 6.アドバイス及びコメント 7.フリートーク の7項目とした.そして,1の患者情報,3の口腔内状態についてはデジタルカメラを用い,視覚的情報を収集することとした.さらにこれらを電子メール及びホームページを用いることにより遠隔地においても意見交換ができるよう検討している.そのため,現在コンピューター上においてプログラム化を行っている.今後はこのプログラムを用い,日本大学歯科病院に来院した有病高齢患者を対象として試験的に運用を行い,システムの有効性,チャートの有用性及びデジタルカメラの利便性について検討する予定である.
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