研究課題/領域番号 |
11671959
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
荒川 一郎 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (00277592)
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研究分担者 |
小林 義典 日本歯科大学, 歯学部, 教授 (20095102)
志賀 博 日本歯科大学, 歯学部, 助教授 (50226114)
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キーワード | 咀嚼運動 / 脳内血流 / 咬筋筋活動 / 組織酸素モニタ |
研究概要 |
健康な歯を数多く有する高齢者は良好な咀嚼機能を営み、また健康な咀嚼動作は脳に刺激を与えて脳内血流を増加させ、精神遅滞を防止することが示唆されている.本研究の目的は、チューインガム咀嚼時における咬筋筋活動量と脳内血流量との関係を明らかにすることである. 被験者は、全身および咀嚼系に臨床的な異常が認められない20歳代の健常者40名(男性20名、女性20名)を選択した。なお、被験者は、主咀嚼側を認識できるものとした。実験は、被験者にチューインガム1枚を主咀嚼側で20秒間咀嚼させた時の咬筋筋活動を日本光電杜製多用途計測装置RM-6000、また両側頭部の深部血流をバイオメディカルサイエンス社製組織酸素モニタPSA-IIINを用いて同時記録した。なお、実験前に被験者に開閉口運動とタッピング運動を行わせ、開閉口運動時には深部血流の変化が検出され、またタッピング運動時には深部血流の変化が検出されない部位に、組織酸素モニタのプローブを付着した。咀嚼は、弱度(区間A)、中等度(区間B)、強度(区間C)の3段階で行い、順序はランダムに行った。分析は、はじめに咀嚼前(安静時)、咀嚼中、咀嚼後の脳内血流の変化を調べた。次いで、各区間における咬筋筋活動の積分値と脳内血流について、多重比較を行った。脳内血流は、いずれの区間においても咀嚼中に有意に増加し、咀嚼後に減少し、咀嚼前の状態に回復する傾向を示した。また、咬筋筋活動の積分値と脳内血流量は、区間Aが最も少なく、区間B、区間Cの順に多くなり、区間間に有意差が認められた。 これらのことから、咀嚼運動によって脳内血流が増加すること、また咀嚼時の筋活動の強さが脳内血流の変化の大小に影響を及ぼすことが示唆された。
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