本年度はBMPの生産を主として行ない、同時に膜材料の調整も行なった。バキュロウイルスによる人工合成BMP(recombinant BMP)の生産系は安定化したが、抗体レベルでrecombinant BMPの存在は常に確認されたが、in vivoにおける新生骨誘導量はきわめて少なかった。12年度も継続して生産予定であるが、大腸菌による人工合成系のBMP活性に関する肯定的な論文が最近提出されているため、宿主を大腸菌に変更することも検討中である。天然抽出の粗精製のBMPは必要量をほぼ確保し、現在カラムクロマトグラフィによる精製を行なっている。これまでは、非水溶性のBMPを使用していたが、高分子膜との複合化には水溶性BMPの製作は不可欠であり、ほぼ所定の生産量に達している。いずれの天然抽出BMPも高い新生骨誘導能を示しており、12年度に膜材料との複合化が可能となる。天然抽出BMPの生産は今後も続行予定である。膜材料の調整に当たり過去の実験に基づき、ポリサッカライドを水溶性BMPのキャリアーとして使用した。BMP単独の場合よりも著しく新生骨誘導量が増強されることを確認した。高分子膜にはアセテートメンブレン、キトサンフィルムを使用する予定にしており予備実験において上記キャリアーを用いてBMPをアセテートメンブレンに吸着した。現在in vivoの実験結果を待っている。また、キャリアーにリン酸カルシウムを含有したものを作成することも検討しているため、リン酸カルシウムとBMPとの複合実験も同時進行で行なっている。
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