研究概要 |
同形状ポーラス・インプラント体の試作:金属鋳造時に水素と窒素を吹き込み冷却し鋳造金属内に気泡を作った.この時の溶融温度,冷却速度および酸素の圧力を調整することにより,ポーラスの大きさと方向性を揃えた.ポーラスの空孔径を150〜200μm(骨組織が陥入する大きさ),40〜100μm(骨様物質で埋まる大きさ)ならびに8〜15μm(コラーゲン線維で埋まる大きさ)とした. 表面性状の観察:硬組織切断機でポーラス・インプラントを切断し,走査型顕微鏡によりポーラスの形状を観察した.その結果,ポーラスの形状,大きさおよび方向はほぼ一定していた.しかし,切断により,ポーラス自体が摩滅している箇所があり,切断方法について今後の検討課題となった. ポーラスはを鋳造で欠陥とされていた気泡を利用することにより,穴の大きさと方向を揃え,ポーラスの強度の低下を防ぎ,骨侵入の環境が調え,機械的強度の問題,侵入する生体組織を特定などの問題を解決する可能性が示唆された.さらに,本研究を実行することにより,神経,血管あるいは上顎洞近接部などの骨梁に問題のあるケースや骨粗鬆症,骨再生能低下など骨活性に問題のあるケース,さらに外科的侵襲を最小限に止める必要のあるケースなどインプラント難症例に対してその施術をより安全に効率よく運用することが可能になることが期待される.
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