研究概要 |
近年、顎顔面変形症の治療法として仮骨延長法が注目され基礎研究が行われているが、仮骨延長終了後、固定期間における骨モデリングに関する報告は少ない。そこで今回、仮骨延長終了後、固定期間中の骨モデリングについてX線学的、組織学的、骨形態計測学的手法を用いて検索した。 体重約2.5kg、雄性日本白色家兎の右側脛骨を用いて、仮骨延長法を行った。術後10日目より10日間、7,5mm仮骨延長後、40日間の延長部分の骨量の経目的変化をDXA(Dual-energy X-ray absorptionmetry)により測定し、同時にX線写真の撮影も行った。また、仮骨延長終了後16日、28日、40日に屠殺、脛骨を採取し、pQCT(peripheral Quantitative Computed Tomography)により延長部分の中心部において海綿骨、皮質骨の骨量変化を測定した。その後、非脱灰研磨標本を作成し組織学的観察、骨形態計測を行った。 DXAによる計測の結果、骨量は仮骨延長終了後、約16日まで急激に増加し、その後減少する傾向を示した。pQCTによる解析では、16日と比べ28日目、40日目において、海綿骨様骨の骨量は有意に減少し、皮質骨様骨の骨量増加が著明に認められた。骨形態計測により延長部中央の新生骨は骨梁幅の増加、また骨吸収面の減少と類骨面の増加が認められた。 以上のことから延長部において固定期間中、16日目から40日目にかけて幼若な骨から成熟した骨へと経時的に変化していくことが明らかにされ、骨モデリング活性が高まっていることが示唆された。
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