研究概要 |
1)Subchromosomal Transferable Fragments(STFs)クローンの作製 A9(neo3)細胞(マウスfibrosarcoma由来の細胞株:A9細胞にpSV2neo遺伝子で標識されたヒト正常第3染色体を1本だけ移入した雑種細胞株)にγ線を4,8,16Gy照射し、染色体をランダムに切断し、それらをG418選択培地にて培養した。生き残った細胞はすべてヒト第3染色体に由来する染色体断片を含んでおり、それらから微小核を作り、A9細胞に移入し合計16種類のSTFsクローンを得た。 2)STFsクローンのスクリーニング Qバンド分染法による染色体解析及びヒト第3染色体を特異的に染色するプローブを用いた染色体ペインティング法により、移入された染色体断片の大まかなサイズを決めた。また、ヒト第3染色体上に位置している54種類のマイクロサテライト・マーカーを用い、染色体断片の領域を決めた。 3)STFsクローンのヌードマウスに対する造腫瘍性に関する検討 A9細胞と2種類のA9(neo3)細胞:A9(neo3A)及びA9(neo3B)、4種類のさまざまな大きさのヒト第3染色体断片を持つSTFsクローンをヌードマウスの皮下に注射し、それぞれの細胞の造腫瘍性について検討した。その結果、A9(neo3A)及び4種類のSTFsクローンは親株であるA9細胞とほぼ同様の造腫瘍性を呈したのに対し、A9(neo3B)細胞の造腫瘍性だけが著しく抑制されていた。現在、A9(neo3B)細胞の抑制の機序に関して解析中である。
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